シダの図鑑 福岡県植物目録1シダ植物

福岡県植物目録(1)シダ植物

 福岡市にお住まいの筒井さんは、わが国で最も熱心なシダ研究家の一人です。ここ数年間、福岡植物研究会の方々と一緒に、県内くまなく調査して集められたシダ植物の標本が1万5千点を越えたということで、これを基にして筒井さんは「福岡県植物目録(1)シダ植物」完成されました。(以下一部略)  最近各県・各地方ごとの植物誌特にシダに関する目録や図説などが続々と発表されておりますが、この筒井さんの書物はまさに一種独特のものだという感じのものです。全体が標本目録・標本図集・分布図の3部に分かれていて、巻頭にはカラー写真・モノクロ写真・線画の見事な図版56ページが載っています。

 第1部標本目録には、県内産標本のすべての産地が細部の地名から海抜高まで詳しく記され、分布・生態などの適切なノートも付いていて、将来の研究に大いに役立つ資料になっています。

 第2部標本図集は、各ページ数個ずつ168ページにわたるもので、県産382種類(変種や品種を含めるとこの数になる)845点の図が集められています。この図は標本から直接コピーして作製された白黒の影絵つまりシルエットですが、シダの葉にはこれが最も適しているようで、約5分の1に縮小した葉が並んでいる(1種類につき数枚ずつ特徴ある形を揃えたもの)のを見ますと、説明なしでもその種類を理解できるぐらいです。これはまことにうまい方法で、この第2部だけを取り出して本にしても、初心者といわずベテランの方にも役立つシダ図鑑になること請合いといえます。この図集に挙げられているシダ同定結果からも、筒井さんのシダ鑑定眼の確かさをうかがうことができます。

 第3部分布図集は、県産299種(この場合は変種や品種を区別しない種)ごとに、5万分の1地形図の16分の1の区画に点を打って示したもので、県内の分布が一目でわかることになっています。それに100m目盛りの高度分布図を添えてあります。

B5版572ページという堂々たるこの書物は、どこを開いても資料に満ちていて、著者と協力者各位の努力の跡がしのばれます。わが国にまた一つ立派なシダの本が誕生したことはまことに喜ばしいことです。福岡1県といっても、シダの種類は大体似たものが多いのですから、どの地方にとっても大いに役立つ本だと存じます。ご推薦申し上げます。